遊びといたずら、インスピレーションと予感―。
鈴木昭男は音を「なげかけ」、場を「たどる」行為を繰り返す中で、常に「聴く」ということを模索し続けています。周りのものをそそのかせ、巻き込み、集中させる、その誇りとアイロニーの混ざった言動は悪猫(bad cat)!と称され、1960年代から音によるイベントやインスタレーション、アナラポスと名付けた創作音具によるパフォーマンスを国内外で展開し、日本のサウンドアートの先駆者の1人と言われています。

本展は「鈴木昭男展−点気」と題し、新作サウンド・インスタレーションをはじめ、今年20周年を迎える《日向ぼっこの空間》関連資料、視覚的な音の表記法である図形楽譜、パフォーマンス映像等によって鈴木昭男の「音」の仕事を紹介するものです。
また会期中、地面に白くプリントした「耳+足」を象ったマークの上に佇み、耳を澄ますプロジェクト《点音》を実施します。
普段気に留めずに通り過ぎてしまう場所も改めて聴覚に意識を向けることで、自然の音や町の生活音などあらゆる音と出会い、同時に今まで見えなかった新しい景色が開けてくることでしょう。タイトルの《点気》という展覧会名は、鈴木自身がつけたもので、野外での茶会を意味する「野点」を転じて逆さまから《きだて》と読み、「気」を点てることを意味します。天気、気勢、意気・・「気」という言葉は、万物が生ずる根元から生命の原動力、精神を表し、また人や物に気配があるように、雰囲気、存在感、美しさも「気」としてそのもの自身を成り立たせます。
おのおのの「気」に耳を傾け、そのイマジネーションの中に音の空間を奏でる鈴木昭男の世界に触れることは、私たちにとって過去を聴き、今を受け入れ、未来に耳を澄ます礎となることでしょう。

パリの秋のフェスティバルに招かれたのを最初に、カッセルのドクメンタなど世界各地から招聘され、音のイベントやインスタレーション、音具によるパフォーマンスを展開。1988年丹後にて《日向ぼっこの空間》逐行、
子午線上に築いた壁の間に座り、一日 自然に耳を澄ます。1996年ベルリンにて《点音》を始め、その後世界18箇所で実施。常に「聴く」ということを関わる場を通して受け入れている。京都府京丹後市在住。