三岸節子 旅とエッセイ ―異邦人が見た欧州風景― 2009年11月17日(火)〜2010年1月24日(日)
「旅はいつも私に新しい生命をよびさましてくれる不死の浄薬でもある」
※三岸節子著『黄色い手帖』1983年求龍堂より抜粋
三岸節子は、70年にわたる画業の中で20年に及ぶ歳月をヨーロッパの地で過ごし制作に励みました。今回はエッセイなどを手がかりに、各地を旅行した様子や自分なりの風景画を求める思いなど、何を描き伝えようとしたのか当時の作品から読み解きます。
「1954年、永いこと憧れていたフランスに渡った。私の風景への初挑戦である。パリに着いて間もなく、車でフランス中に出掛けた。パリだけでなく、田舎も歩いた。ロワールのシャトウ巡り、南仏の光輝く景色、何もかもまるで夢の中のようだった。
しかし1年半の滞在では余りにも不十分であり、フランスは私を風景画家にはしてくれなかった。そんな思いが1968年の再渡仏となったのかもしれない。
2度目に住んだ南仏のカーニュ・スュール・メールからヴェネチアまでは、オートルートで8時間余りで着く。孫の学校が休みになると出掛けた。何度行っただろう、その結果が最初のパリ展となった。その後の2回のパリ展も、それぞれブルゴーニュ、スペイン、シシリー、パリを描いた。
果たして私は風景画家となっただろうか。私はあくまでも名所絵葉書のような風景にはしたくなかった。自分なりに消化し、私の世界を造ったつもりだ。」
※『三岸節子−ヨーロッパデッサン集1954-1989 旅へのいざない』1997年求龍堂より抜粋
■新収蔵作品紹介
このたび平成21年度に美術館で購入した新収蔵作品を紹介します。
この作品は、スペインのアンダルシア地方にあるカラオラ(Calahorra)を描いています。当時この地方はまだ近代化がなされず、人の手のぬくもりが感じられる建物が多く残っていました。画家は計算されていない漆喰の壁に生の美を感じたのでしょうか。画面前方の両端に歪みのある建物を描き、奥には連なる建物の様子を黒い太い線を使い独自のフォルムで捉えています。また、悠久の歴史に思いを馳せたのでしょうか。アラブ占領時の面影が色濃く残るこの地を選び、赤茶けた山肌に古城をモチーフとしたのも、フランスでは感じられなかった歴史の荒々しさが珍しかったからのようです。この城を題材にした作品は5点ほど知られており、好んだ風景だと言えます。
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| No. | 作品名 | 制作年 | サイズ | 号 | 年齢 | 材質 |
| 自画像 | 1925(大正14) | 30.5×22.0 | 3F | 20 | 油彩・キャンバス | |
| カーニュ風景 | 1969(昭和44) | 34.0×27.0 | 5F | 64 | 油彩・キャンバス | |
| カーニュ風景 | 1969(昭和44) | 90.9×72.7 | 30F | 64 | 油彩・キャンバス | |
| 朝がきた(ヴェネチア) | 1971(昭和46) | 90.9×72.7 | 30F | 66 | 油彩・キャンバス | |
| 小運河の家(1) | 1972(昭和77) | 100.0×81.0 | 40F | 67 | 油彩・キャンバス | |
| 大運河にて ※寄託 | 1973(昭和48) | 60.6×73.0 | 20F | 68 | 油彩・キャンバス | |
| 霧 | 1973(昭和48) | 80.3×65.1 | 25F | 68 | 油彩・キャンバス | |
| 細い運河 | 1974(昭和49) | 92.0×73.0 | 30F | 69 | 油彩・キャンバス | |
| ブルゴーニュの麦畑 | 1978(昭和53) | 92.0×65.0 | 30P | 73 | 油彩・キャンバス | |
| ブルゴーニュのブドー畑 | 1979(昭和54) | 80.3×100.0 | 40F | 74 | 油彩・キャンバス | |
| ヴェネチアの海 | 1985(昭和60) | 92.0×72.8 | 30F | 80 | 油彩・キャンバス | |
| モンマルトルの家 | 1987(昭和62) | 91.2×72.5 | 30F | 82 | 油彩・キャンバス | |
| イル・サンルイの秋 | 1987(昭和62) | 89.0×116.0 | 50F | 82 | 油彩・キャンバス | |
| アンダルシアの町 | 1987(昭和62) | 73.0×92.0 | 30F | 82 | 油彩・キャンバス | |
| アンダルシアの坂道 | 1987(昭和62) | 100.0×65.0 | 40M | 82 | 油彩・キャンバス | |
| 小さな町(アンダルシア) | 1987(昭和62) | 89.0×116.0 | 50F | 82 | 油彩・キャンバス | |
| 坂の上へ(アンダルシア) | 1987(昭和62) | 92.0×73.0 | 30F | 82 | 油彩・キャンバス | |
| 崖の上(アンダルシア) ※新寄託 | 1987(昭和62) | 73.0×92.0 | 30F | 82 | 油彩・キャンバス | |
| 小さな村 | 1988(昭和63) | 73.0×60.0 | 20F | 83 | 油彩・キャンバス | |
| 城のある町 ※新収蔵 | 1988(昭和63) | 120.0×120.0 | 変50S | 83 | 油彩・キャンバス | |
| アルカディアの赤い屋根(カヂスにて) | 1988(昭和63) | 60.0×73.0 | 20F | 83 | 油彩・キャンバス | |
| ブルゴーニュにて | 1989(平成1) | 81.0×100.0 | 40F | 84 | 油彩・キャンバス | |
| 素描 | ||||||
| サンポールの地下道 | 1954(昭和29) | 41.0×30.5 | 49 | パステル・水彩・紙 | ||
| イル・サンルイ | 1954(昭和29) | 41.0×31.0 | 49 | パステル・水彩・紙 | ||
| ニースのプロムナーデサングレ | 1980(昭和55) | 45.0×32.0 | 75 | パステル・紙 | ||
| 風景 | 1980(昭和55) | 33.3×38.0 | 75 | 鉛筆・パステル・油彩・紙 | ||
| 自筆原稿 | ||||||
| 「ヴェロン記」 『花より花らしく』(1977年・求龍堂)掲載 | ||||||
都合により展示の内容を一部変更することがあります。
6、18寄託作品。ほか館蔵作品。
作品目録のbヘ作品の並びと異なります。



