三岸節子 色と形のものがたり −画業の全貌− 2008年6月23日(火)〜8月30日(日)
三岸節子にとってモチーフの色と形は、作品を描くためのイメージの源でした。色に魅せられ、自分なりのフォルムを追求した作品からは、画家独自の芸術観をうかがい知ることができます。今回もまた、所蔵作品の中から代表作を展示し、70年におよぶ画業の全貌に迫ります
《 》は作品名、( )は作品目録
画家としての出発
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1925(大正14)年、第3回春陽会展で初めて《自画像》など4点の作品が入選し、本格的に画家の道を歩みはじめます。この作品の正面に立つと、左右の眼が異なる様子で描かれており、その目線は、新たな旅立ちに向かってときめく心と、未知への不安といった、節子の心の二面性を表しているかのようです。 《自画像》(1) |
色彩を求めて
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1940年代の作品には、生活で使う身近な物や、日常の断片を描いた作品群が登場してきます。特に色を多用した装飾的な表現は、自身が「心をゆすぶりとろかすような色彩」を求める想いを原色で示し、美しい室内画や静物画とすることでおしゃれで繊細な情感を表現しています。これらの色彩はあくまで暖かく、そこに親しみやすさをも感じさせます。 《静物》(5) |
構築を求めて
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三岸は「わたくしの絵はよく造型がなく、色彩に溺れがちである」と、それまでの作品内容に疑問を持ち造形の構築を模索するようになります。モチーフの配置に慎重になり、それまでの静物画にはない空間構成を加味するようになります。形をデフォルメし、色彩のコントラストや硬い輪郭で存在感を強調した作品には、絞られた色彩表現と構築された画面を併せ持つ絵画世界が創り出されました。 《花と魚》(8) |
日本古来の美
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1954年に念願であったフランス行きを果たすと、日本と外国の風土の違いや、東洋と西洋の美意識の違いに目を向けます。殊に日本の埴輪の自然に生み出された美しさに強く惹かれ、素朴で簡潔な形態表現に民族としての原点を見出したかのような作品を展開してきます。 《二つの像》(11) |
風景画家として
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1968年に再渡仏を決心し、フランスのコート・ダ・ジュール地方にあるカーニュ・スール・メール(Cagnes‐sur‐Mer)にアトリエを構えて本格的に風景画に取り組みます。1970年代に入ると、落ち着いた情緒的な色彩で石壁の街並みを<ヴェネチアシリーズ>が制作され、運河の街特有の情景を捉えることに成功しています。この頃節子は画業も円熟期を迎え、完成度の高い成熟した作品を生みました。 《小運河の家(1)》(14) |
新しい挑戦
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84歳で帰国した後は、神奈川の大磯を終(つい)の棲家(すみか)とします。晩期でありながら、常に作品に新しい変化を求める思いが制作の衝動となり、瓶や壺をモチーフに高い精神性を内包した新たな境地が伸びやかに描かれました。 《作品V》(23) |
生涯のモチーフ−花
自らを「本能的な画家」とする由縁(ゆえん)が一連の花の作品にあります。画面構成や作為に煩わされることなく、内から出る色や形を感性に素直に表現する節子は、作品の方向性をインスピレーションでとらえる本来の制作スタイルを楽しみながら、画面全体に花の持つ生命力を具現化しました。
《花》(22)・《さいたさいたさくらがさいた》(25)
作品目録
| No. | 作品名 | 制作年 | サイズ | 号 | 年齢 | 材質 |
| 自画像 | 1925(大正14) | 30.5×22.0 | 3F | 20 | 油彩・キャンバス | |
| 花・果実 | 1932(昭和7) | 90.0×72.0 | 30F | 27 | 油彩・キャンバス | |
| 月夜の縞馬 | 1936(昭和11) | 38.2×63.2 | 12P | 31 | 油彩・キャンバス | |
| もや | 1937(昭和12) | 60.0×72.5 | 20F | 32 | 油彩・キャンバス | |
| 静物 | 1942(昭和17) | 52.7×45.0 | 10F | 37 | 油彩・キャンバス | |
| 静物 | 1948(昭和23) | 53.0×73.0 | 20F | 43 | 油彩・キャンバス | |
| アンダーソンの壺と小鳥 | 1951(昭和26) | 90.9×72.7 | 30F | 46 | 油彩・キャンバス | |
| 花と魚 | 1952(昭和27) | 65.1×90.9 | 30P | 47 | 油彩・キャンバス | |
| かれい | 1953(昭和28) | 90.9×60.0 | 30M | 48 | 油彩・キャンバス | |
| 鳥と琴を弾く埴輪 | 1957(昭和32) | 97.0×130.3 | 60F | 52 | 油彩・キャンバス | |
| 二つの像 | 1959(昭和34) | 80.3×130.3 | 60M | 54 | 油彩・キャンバス | |
| 飛ぶ鳥(火の山にて) | 1962(昭和37) | 116.7×91.0 | 50F | 57 | 油彩・キャンバス | |
| カ−ニュ風景 | 1969(昭和44) | 34.0×27.0 | 5F | 64 | 油彩・キャンバス | |
| 小運河の家(1) | 1972(昭和47) | 100.0×81.0 | 40F | 67 | 油彩・キャンバス | |
| 雲と海の対話(嵐) | 1975(昭和50) | 162.1×130.3 | 100F | 70 | 油彩・キャンバス | |
| ブルゴーニュのブドー畑 | 1979(昭和54) | 80.3×100.0 | 40F | 74 | 油彩・キャンバス | |
| ヴェネチアの海 | 1985(昭和60) | 92.0×72.8 | 30F | 80 | 油彩・キャンバス | |
| イル・サンルイの秋 | 1987(昭和62) | 89.0×116.0 | 50F | 82 | 油彩・キャンバス | |
| アンダルシアの坂道 | 1987(昭和62) | 100.0×65.0 | 40M | 82 | 油彩・キャンバス | |
| アルカディアの赤い屋根(ガヂスにて) | 1988(昭和63) | 60.0×73.0 | 20F | 83 | 油彩・キャンバス | |
| 花(ヴェロンにて) | 1989(平成1) | 72.5×59.7 | 20F | 84 | 油彩・キャンバス | |
| 花 | 1989(平成1) | 73.0×60.0 | 20F | 84 | 油彩・キャンバス | |
| 作品III | 1991(平成3) | 110.0×110.0 | 60S | 86 | 油彩・キャンバス | |
| さいたさいたさくらがさいた | 1998(平成10) | 130.0×160.0 | 100F | 93 | 油彩・キャンバス | |
| 室内風景 | 1930年代 | 38.0×25.0 | ペン・水彩・紙 | |||
| サンポールの地下道 | 1954(昭和29) | 41.0×30.5 | 49 | パステル・水彩・紙 |
※都合により展示の内容を一部変更することがあります。
※すべて館蔵作品。
※目録bヘ展示順と必ずしも一致するものではありません。





